ここが最もそれらしい姿になる明け方、カブの音がひびき、ニワトリが鳴く。夜の静けさを破るように、高らかと。それにつられて犬も目覚め、二階まで聞こえるほどの大あくびをするのだった。その情けない声を聞いて二度寝。ひとり暮らしの時の緊張感が、まるでない。
ニョクマムとかメルツバウとか、単語が突然に浮かぶ。昨日も確かに浮かんできたのだけど、メモしたその紙をなくしてしまい、気になって仕方がない。思い出そうとしている時間こそ無駄だと思うも、次は忘れようとして反対にはっきりと覚え込むこととなる。しっぽを捕まえたようで結局思い出せず、もどかしい。