いつかは必ず来るものなのだと、わかってはいた。もうもうとしたホームで、曾祖母の小さい背中と、かくしゃくとした喋り口を思い出す。田舎の本家の嫁だった曾祖母と祖母との間には、色々と確執があったと聞いたけれど、私の知る限り穏やかなおばあさんだった。
田舎ゆえ、葬式も家でおこなう。電球がまぶしいくらいに光る祭壇に、ピントの甘い曾祖母の写真が飾られていて、ちゃんとした写真撮っといたらよかったなーと泣きそうになる。棺をかかえてぐるぐる回る儀式みたいなのをはじめて見た。お客さんが戻られてから、一族会議。みんな疲れきっているけれど、たくさんの人に見送ってもらって、おばあさんは幸せやったなーと話しかけている。母は人目も気にせず泣き、祖父は照れ隠しのように笑いながら泣ぐんでいた。
ひとり暮らしの家に帰ると朝顔がしょぼくれていて、あわてて水をやる。ぽふっと抜けた花火の音が聞こえて、そういえば花火大会だったと思い出す。曾祖母は私のことを少しでも、思い出したのだろうか。